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前川 雅樹; 河裾 厚男; 平出 哲也; 三輪 幸夫
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 33(2), p.287 - 290, 2008/06
当グループでは、陽電子ビームマイクロビームの開発とその利用研究を行っている。陽電子マイクロビームは、新たに開発した小型陽電子線源と固体ネオン減速材により発生させた高輝度陽電子ビームを、電子レンズを用いて収束することで形成した。最小ビーム径は3.9mであることが確認された。この陽電子マイクロビームを、応力腐食割れを起こしたステンレス材上を2次元走査した。その結果、亀裂部先端において、亀裂発生に先駆けてSパラメータが上昇することが見いだされた。これは空孔型欠陥が導入されていることを示していると考えられる。
河裾 厚男; 深谷 有喜; 橋本 美絵; 一宮 彪彦
no journal, ,
十分に収束された高平行な陽電子ビームを表面に低角入射すると全反射回折を起こす。このため反射高速陽電子回折は表面構造を内部の影響なく精密に決定することができる優れた手法である。われわれは、磁気レンズを用いることで従来よりも可干渉性の高い陽電子ビームを開発した。これにより表面超構造の分数次回折点の観測が可能となった。観測の結果、Si-77表面の陽電子回折図形は電子回折図形と異なっていることがわかった。これは陽電子が表面原子によって、より強く熱散漫散乱されることを示している。応用としてSi-()()-Ag表面の相転移の研究を行った。その結果、表面敏感な回折点強度が強い温度依存性を示すことを見いだした。動力学回折理論に基づき計算を行った結果、この温度依存性が秩序無秩序相転移により説明できることが明らかになり、これまでの論争に決着をつけた。われわれはまたSi-()()-Ag表面に余剰銀原子を吸着することで発現するSi-()()-Agの構造解析を行い、最表面の原子配列を決定することに成功した。さらにわれわれは、Si-In表面の金属絶縁体転移を研究した結果、相転移に伴い大きな原子変位が引き起こされることを見いだした。